第51話 未来怪獣

監   督 石井 てるよし
脚   本 荒木 憲一
特技監督 佐川 和夫
怪   獣 アラドス、ノワール星人

 いやぁ、最新のコンピュータ処理技術をふんだんに使った作品ですねぇ。動画処理ソフトをがんがん使って、面白い映像を見せてくれました。もちろん、こういう手法は、特撮だけではなく、すでにCMなんかでもかなり使われてはいるんですが、コスモスでここまでおおっぴらに使ったのは初めてでしょう。面白い試みだと思います。一番の見せ所は、アラドスが麻酔弾から逃げるシーン。時間を止められてしまったフブキとムサシの顔が、ちょっと間抜けだったりしておもしろいです、はい。
 とはいえ、この技術、いろんなところで使われ、テレビにあふれているのも確か。ですから、新鮮味としてはあまりない。うーん、これって私の贅沢なんでしょうか。
 あ、そうか。特撮って工夫なんですよね。大きい怪獣なんていないから、ビルのほうを小さくして、怪獣を大きく見せるとか、飛行機が飛んでるように見せるために、背景の空を動かすとか。つまり、いかに工夫して、リアリティを出すかってのが特撮だったんですが、最近は今回のように用意された技術やソフトを使ってるだけになっちゃったような気がします。うーん、これも時代の流れなんでしょうか・・・。ちょっとさみしいなぁ。

 さて、お話のほうに行きましょう。今日の怪獣はアラドス。5千年後の地球からきた怪獣です。つくりのほうは、素晴らしいの一言ですねぇ。カメをイメージしたのでしょうか、皮膚感、動き、どれをとっても爬虫類っぽく、まるで本当に生きているかのよう。一応着ぐるみでしょうから、中のアクターさんも素晴らしい演技をしていると思います。
 はっ。時間を自由に操る怪獣がカメに似てるってのは、玉手箱開けたら時間が一気にすすんじゃった「浦島太郎」のお話に引っ掛けてあるとか? もしそうだったら、なかなかの洒落。こういう洒落っ気っていいですねぇ、拍手拍手。

 このアラドス、時間を自由に操るという特技を持ってます。自分の周囲の時間を止めたりしてましたが、これって物理学的にどうなんでしょう。確かに相対論では、絶対時間って概念はありません(ということらしい)。でも、時間が止まるってことは、光も進まなくなるってこと(になると思う)ですから、時間が止まっていないところから、時間が止まっているところを見てもたぶん何も見えなくなると思うんですが・・・。とまぁ、難しく考えなくても、時間が止まっている場所の上でも、ちゃんと太陽は東から西に動いているわけでしょう・・・。うーん、かなり物理学的に無理があるぞぉ。とはいえ、私、これ以上ツっこめないんですよね。なんてったって物理が大の苦手だったんだもん。
 とはいっても、アイデアとしては面白い。時間に対する疑問が見ている最中から出てくるのは出てくるんですが、実はあまり気にならない。一応、ツっこんではみたものの、特撮ってのはこういうありもしない空想や妄想を実際の映像として見せてくれるから面白いんです。だって、「ウルトラマン」自体が空想の産物なんですから(笑)。

 さて、弱ってるアラドスに対し、いろんな手を尽くして救命活動をするEYESとSRC。5千年後の怪獣ってことで、どういう手をとればいいかわかんない感じ。とはいっても、たかだか5千年。生物の進化のモノサシからいうと、ほんの一瞬です。だって、今から5千年前っていうと、エジプト文明が生まれたころですから、ほんのこの間って感じです。しかもアラドスは地球産の怪獣ですから、今の地球の動物や怪獣を参考にすれば、有効な救命活動もできると思うんですがねぇ。SRCって、すごい組織のようで、実は全然ダメな組織のような気がする・・・。
 その割に、ヒウラがアラドスの餌作ったりしてるんですから、どーやってアラドスの食い物調べたんだよってツッコミが入っちゃいますよねぇ。もっとも、ここらあたりはギャグとしてみなきゃいけないんでしょう。でも、あんな餌食ったら、アラドスますます弱っちゃいそうな気がするぞ。

 とまぁ、発想はとてもよかったんですが、ノワール星人を絡めちゃったあたりからちょっとダルくなっちゃいましたねぇ。だって、ノワール星人の目的がよくわかんないんだもん。これは、「操り怪獣(第43話)」のレポートでもツっこみましたが、地球人の心を分析したりしてる割に、地球の怪獣を資源として使いたいと思ってたり・・・。「アラドスと引き換えに地球から手を引く」と言ったところを見ると、なんとなく地球が目的のような気もしないではないですしねぇ。まぁ、アラドスが究極の資源であると思ったからとも考 えられますが・・・。いずれにしても、こうやって何度も使う異星人は、制作側の意図がどうであれ、見ているほうは「コスモス」のライバルとして認識します。ライバルである以上、やはり明確な意図を持たせて欲しいと思います。

 ノワール星人の明確な意図がはっきりしませんから、それに続く戦闘シーンも気合が入りません。今回は、コスモスだけじゃなく、テックスピナーまで安易な画像いじり。ノワール星人の円盤とのバトルは、特撮一番の見せ場であるはずなんですが、テックスピナーの宙返り画像が不自然すぎます。別に円盤とテックスピナーを一つの映像に収めなくても、操演とカットの繋ぎ方次第で十分リアルな映像が作れるはずなんですけどねぇ。同じように、コスモスのキックも画像処理。こちらのほうは、キックが当たる瞬間は実際のアクションでしたけどねぇ。
 この画像いじり、戦ってる者同士をワンカットに入れるためのものなんでしょうか。でも、話の流れからいうと、テックスピナーはノワールの円盤とバトルしてるのは明白ですし、コスモスもラグストーンと戦ってるってのはわかりきっていますから、別に無理やりワンカットに収めなくても問題ないと思うけどなぁ。
 んでもって、結局ノワール星人はコスモスに殺されちゃったんでしょうか。相変わらず異星人に対しては鬼のようなコスモスです。まぁ、テレビ版ではけっこう一貫してますからいいっちゃいいんですけどね。それよりなにより、あれだけノワール星人で引っ張ってきた割に、やられ方が簡単すぎだと思うぞー。んー、これから先も出てくるのかなぁ、ノワール星人。
 そういえば、今週はエクリプスモードでしたねぇ。うーん、エクリプスは対カオスヘッダーだけだと思ってたんですけど、まんまとだまされちゃいました。まぁ、私が勝手にそういう使い分けしてると思っちゃってたんですけどね、ちぇっ

 地球のほうでは、防衛軍もアラドスを狙っています。アラドスが死んだ後、研究資料にしたいとのこと。これだけの能力を持った怪獣ですし、未来からきた怪獣ですから、防衛軍でなくても研究したいはず。もちろん、SRCのアラドス救命活動を妨害しているわけでもなんでもなく、死んだら引き渡して欲しいと言ってるだけですから、至極普通の要求です。たとえ死骸であっても、ノワール星人の手に渡ると地球防衛の障害になるというのも十分考えられますから、防衛上からも納得できます。それに、マザルガスを研究しようとしたら、コスモスに取上げられたばっかだし。
 ところが、ムサシはこれに口をはさむんですよねー。アラドスの命が助かるのなら、ノワール星人に渡しちゃってもいいって考えちゃってます。うーん、相変わらずダメすぎ・・・。てっか、ここまでダメならかえって面白い。んま、このムサシの考えってのは、ヒウラの「せめてふるさとの地球で死なせてやりたい」って言葉を引き出すためのもの。ムサシの考えよりも、ヒウラのセリフのほうが、ストーリー上重要なんだろうなぁ。

 メカレーターとなって生きるか、それともふるさとの地球で生を終えるか、この選択肢を通して、見ているほうに生きるということの意味を考えさせる。お話では、同じ地球に生を受けた生物としてアラドスを地球で死なせてやるほうを選んだのですが、これとて本当に正しい方法かどうかわからない。ここから先は、見ている皆さん考えてくださいっていうことなんでしょう。つまり、問題提起的な終わり方。こいう展開はいいですねぇ。大好きです。
 しかも、最後の力を振り絞ってラグストーンを時空のかなたに飛ばしてしまうってのがまた泣かせるところ。このアラドスの行為、コスモスを守るためにしたなんか思っちゃいけません。そう思っちゃうと面白くもなんともなくなります。アラドスは地球の怪獣。そうなると理由は明白。自分の命を振り絞り、ふるさとの地球を守ったと理解しなきゃいけませんよね。そうなると、今回のテーマって、生きることの意味、命の使いかたってのになってくるのかなぁ。

 と、ここまではけっこう感動のラストシーンになるかと思ってたんですが、やられました。未来からきたおっきなアラドスがちっちゃなアラドスを生き返らせちゃいかんでしょぉ。うーん、実は気絶してただけ? まぁ、時間を止めることができるわけですから、時間を遡らせるってのもできるのかもしれません。そう解釈すれば何とか説明はできるんですけどねぇ。
 でも、私としてはやはり死んだまま未来につれて帰って欲しかったですねぇ。アラドスが死んだからこそいい話なんです。死というモノを見せないという配慮かもしれませんが、これだとヒウラのセリフや、アラドスの行動が活きてこなくなります。それより何より、「やさしさ」を前面に出したウルトラマンだからこそ、死というモノを避けて欲しくありません。大事なものを失う悲しみがわかって初めて、「やさしさ」がわかるもんだと思うんですけどねぇ。

 さて最後に、どうでもいい話題。今週のフブキの髪型、めちゃくちゃ気合入ってませんでした? 磨きのかかった鶏冠って思ったのはヒミツなのです。


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