第50話 カオスの敵

監   督 根本 実樹
脚   本 梶 健吾
特技監督 佐川 和夫
怪   獣 マザルガス

 テンポがあって、結構面白く仕上がってましたね。感心したのは戦闘シーン。といっても、戦闘シーンそのものじゃありません。今回のストーリー、実は戦闘シーンなくても話として成り立っちゃうんです。だって、ダビデス909を撃ち込まれた時にマザルガスが死んでしまっても、同じラストシーンになっちゃったと思いませんか。つまり、ストーリー本筋からいえば、戦闘シーンは不要なわけです。
 だったら、戦闘シーンが邪魔だったかというとそうでもないんですよねぇ。カオスキメラの破壊という要素をひとつ加えることによって、ストーリーに「戦闘シーン」が不可欠のように見せているんですね。さり気に上手な作り方になってると思います。やっぱ、テンポがいい展開だからじゃないかなぁ。もっとも、コスモスはダビデス909が撃たれる前に登場してますから、あのままマザルガスが死んじゃったら、コスモスも立場がなくなっちゃうってのもありますけどね。

 じゃぁ、その戦闘シーンそのものへ。最近の戦闘シーンって、ほんとアクターさんの純な演技を見せてくれるようになりましたね。喜ばしい限りです。でも、コスモスがキックするシーンだけは画像いじり。やっぱ重量感とか、衝撃感ってのが、あの絵じゃ出ないですよねぇ。このキックのあとのマザルガスが倒れるシーンとのつなぎ方はなかなかよかったので、この画像いじりのキックシーン、やっぱ残念でした、はい。
 マザルガスの造形はっていうと、カッパ風味でなかなか愛嬌があり、なかなか楽しい怪獣。この怪獣なら、ライブショーなんかでも子ども達に人気が出そう。もともと、カオスヘッダーを餌にしているくらいですから、そんなに凶暴に作らなくてもいいわけですし。でも、いくら凶暴でないといっても、「食う」ってことになると、どんな動物でもやっぱり必死。造形は、怪獣のキャラクターにあった作りになってますし、「食う」ってことに対する必死さは、アクターさんや絵の作り方で上手に表現していたと思います。

 このマザルガス、口ってどれなんでしょう。ムサシ(杉浦太陽)のセリフを聞く限り、カッパの皿にあたる部分くさい。でも、人間で言う口の部分にくちばしのようなものがありましたから、一見した限りではこちらのほうが口っぽい。カオスヘッダーやレーザーラックを食うところも、食ってるというか取り込んでるって感じです。ですから、ムサシが「レーザーラックを口で・・」って言ったシーン、結構違和感感じちゃいました。まぁ、こんなもん、ヒマネタですからどうでもいいことなんですけど、ドイガキ(須藤公一)がカオスキメラの説明するときにでも、ちょこっと「口は頭部の皿部分です」とか言っとけば、違和感なんてなくなるんですけどね。 ってっか、あそこが口だったら、脳みそとかどこにあるんだろ・・・。え、気にしちゃいけない? いやぁ、気になるって。
 その、くちばしから出すマザルガスの武器(?)はなかなか面白い感じ。まるで花火のような感じの光線(?)です。これが普通の光線だったら面白くも何ともないのですが、エネルギー弾が降り注ぐ形にすることで、弾薬庫への影響を感じさせ、緊張感を出しています。また、このエネルギー弾をムサシとフブキ(市瀬秀和)やシノブ(坂上香織)たちの間に落としたりして、うまーく話の中で使ってますから、なかなか上手な使い方ではないかと思います。
 でもねー、テックスピナーを飛行不能にするほどのエネルギー弾のくせに、ヒウラ(嶋大輔)とハズミ研究員(筒井巧)のあんなに近いところに落ちても、二人とも怪我してないってのは、やっぱり変だぞ(笑)。

 さて、カオスヘッダーは何で弾薬庫に向かったんでしょう。弾薬庫を破壊させることで、人類に多大な被害を与えようとした、って一度は思いかけちゃったんですが、それは考えすぎのような気がします。単に、マザルガスから逃げるために、弾薬庫を選んだんでしょう。マザルガスを弾薬庫までおびき寄せ、自分で弾薬庫を破壊させ、自爆させるというのがカオスヘッダーが選んだ方法ではないかと思います。え?根拠? いやぁ、難しいなぁ。「食おう」とする本能と、「食われまい」とする本能が戦ってるわけですから、どちらも人間のことなんて考える余裕はないんじゃないかってことで、許してくださいな。

 と、ヒマネタばっかりのツッコミだなぁ。こういう時って大体面白かったときなんですよね。でも誉めてはいても、やっぱりおっきなツッコミポイントはあったりするんです。今回のEYESの目的はマザルガスの捕獲。もっとも、EYESの基本スタンスは、怪獣を倒すんではなく捕獲するってことですから、今回も確かにそのスタンスからは外れていないんですが、「カオスキメラを研究するため」に捕獲するってのが強く出過ぎちゃったような気がします。なんとなく、「捕獲」と「攻撃」を人間のエゴで決めちゃってるって感じがするんですよねぇ。まぁ、「宇宙の雪(第49話)」でも、「いい怪獣」、「悪い怪獣」という形で人間のエゴをそれとなく出してはいましたが、ここまで人間のエゴは感じられませんでした。
 何で、こんなに感じたかっていうと・・・うーん、ハズミにしゃべらせすぎかなぁ。彼の言葉を聞く限り、ダビデス909を使うことにより人類がカオスヘッダーに対抗できる術を失い、人類の希望がなくなる・・・としか聞き取れないんですよ。じゃぁ、マザルガスじゃなくて、たとえばノワール星人や人間に被害しか与えない怪獣なら使っちゃっていいのかなぁ、という疑問が湧いてきちゃったりするのです。ラストシーンで、ダビデスは廃棄するとか言ってはいるんですけれど、このシーンまでは、「人類の希望」を壊す使い方はいけないけれど、使うこと自体は悪くないという感じで話が進んでるって感じがするんです。もっとも、廃棄するにしても、防衛軍が組織として開発したものを、組織の中の一個人が(あの時点で軍を辞めていたらなおさら)勝手に廃棄はできないと思うんですが・・・。
 もうひとつ、エゴを感じたのが、ヒウラが西条(奈良坂篤)を殴るシーン。ここでも、「人類の希望を握りつぶした」などと、人類のことしか考えていないようなセリフが出てきます。怪獣を殺しちゃったことが悪いんじゃなくて、「人類の希望を握りつぶした」ことが悪いように聞こえませんか。そりゃねぇ、無理やり考えれば、「時の娘(第13、14話)」のように、カオスヘッダーが怪獣にとり憑くことにより、人類がすべての怪獣を敵視し倒してしまい、人類が自滅する・・・っていうことまで読み取れないこともないですけど、人殴るほど感情的になってるときにそこまで考えて殴るらんでしょ。
 んま、とにかく、このハズミとヒウラの行動、怪獣を殺す(した)ってこと自体は悪いことじゃないって感じがしちゃうのです。もうすこしうまく、怪獣を殺すことはいいことではないってのを感じさせてほしかったと思います。

 次はダビデス909の発射に関するシーンへのツッコミ。この一連のシーン、ちょっと緊張感が足りなかったかなぁ。あれほどの武器ですから、もう少し緊張感があってもよさそうなもの。佐原(須藤正裕)の「言葉を慎め」ってあたりで緊張感が最大になるかと思いきや、そうでもない。そのあと西条が椅子に座っちゃったりするあたりは、組織としての描き方がなってないですね。司令官が立って戦況を見てるのに、部下が座っちゃったりしませんって。「言葉を慎め」だけじゃなく「態度を慎め」って感じです。
 じゃぁ、ハズミがスコープに出てきたときに緊張感が高まったかっていうと、これもねぇ。あのロックオンスコープは地上基地からの映像のようですが、発射は防衛軍機からですからねぇ。あそこにハズミが立ったからといって、別にダビデス909の進路に立ってるわけじゃない。ですから、命張ってるように感じないんですよ。もっとも、マザルガスのエネルギー弾が降り注ぐところに立ってはいるんですが、エネルギー弾が降り注ぎ始めたのは、このあとのヒウラとの絡みシーンから。スコープに現れたときに命張ってるってのを感じさせてもらわないと、緊張感でてきませんって。
 今回のお話全体にテンポと緊張感があったとはいえ、緊張感のピークを感じさせるシーンが少なかったような気がします。

 ともあれ、カオスヘッダーの天敵という存在が出てきました。もちろん、これからこのカオスキメラが対カオスヘッダーの有効な攻撃手段として利用されることがあるんでしょう。ただ、マザルガスは死んじゃってますし、死体はコスモスが宇宙に持ってっちゃってますから、これからカオスキメラをどうやって研究するんでしょう。てっかよ、カオスキメラは酵素なんだから、マザルガスの死体とか組織の一部でもあれば、DNAを分析することによって作りだす事も可能なんじゃないのかな。でも死体はコスモスが持ってっちゃったしなぁ。え?もしかしたら、コスモスも「人類の希望を握りつぶした」ってことになる?
 そういえば、対カオスヘッダーに有効なものって、ソアッグ鉱石ってのもありましたねぇ。あ、よくよく考えると、今回のお話、カオスヘッダーが弾薬庫に行かないように、ソアッグビームでカオスヘッダーを遠ざければよかったんじゃないのか?うーん、EYES、相変わらずダメだなぁ。


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