第38話 オヤジ星人

監   督 市野 龍一
脚   本 増田 貴彦
特技監督 鈴木 健二
怪   獣 ベリル星人 ヘルズキング

 うおー、うおー、赤星さんだよ、赤星さん。赤星昇一郎さんだー。あ、いや、すみません、ちょっと興奮してしまいました。だって、赤星さんと言えば、オビコ。「ウルトラマンティガ」でオビコを演じた方です。いやー、オビコいい話でしたなぁ・・・って、これはウルトラマンコスモスのレポートだよ。ふぅ、気を取り直して、コスモスレポートに戻りましょう・・・。

 赤星さんの話を出すと、また興奮しちゃったりするといけないので、最初は特撮・戦闘シーンからいきましょうか。今週は機械生命体。生命体といってもぶっちゃけた話、ロボットみたいなもんでしょう。ですから、コスモスもとっととコロナモードにチェンジしての戦闘でした。
 その戦闘シーン。特撮スタッフ遊んでますねぇ。荒地に廃車、それに枯れた木を配置し、コスモスとヘルズキングの間に距離を置いて、この2人(?)の周りをカメラでまわっていく・・・という、まるで西部劇の決闘のような雰囲気を出しています。そして、ヘルズキングの両腕から銃のようなものでコスモスを撃つわけですから、まるで二丁拳銃ですね。いやぁ、M2エリアの街のすぐ近くにあんな荒地があるってこと自体不自然ではあるんですが、そんなことなんか気にさせないほどの雰囲気の絵でしたねぇ。
 コスモスの戦いは・・・最近どんどん弱くなっていくコロナモード、弱いと言うより全然歯がたってない・・・戦闘シーンの前半は戦いというより、相撲取りにぶつかっていくちびっこってかんじでしたな。草野(赤星昇一郎)に弱点を教えてもらい、よーやくヘルズキングを倒すのですが、なんつーかさ、草野もムサシ(杉浦太陽)が変身する前に教えておいてやれよ・・・。
 絵の作り方としては、今週もヘンなエフェクトやCGを使っておらず、なかなか楽しめるものでした。ヘルズキングが、テトラポット体からロボット体になるシーンはCGですが、こういう使い方ならオッケです。もっとも、ロボット体になった時にヘルズキングをフルCGで描いてちゃったりしたら、かなーりのマイナスポイントなんですけれど、今回はそういうこともなくて、一安心って感じでした。
 もうひとつ、見逃せないシーンとしては、ヘルズキングの砲撃から逃げるコスモスでしょうか。最初はうまーく逃げていたコスモスですが、最後には逃げ切れず砲撃をもろに食らってしまいます。この砲撃を食らう直前のコスモス、足元への砲撃をよけるシーンですが、これがメチャクチャかわいいんです。これって実際に足元に火薬仕込んでるんでしょうから、コスモスの中のアクターさん、芝居じゃなくてマジだったのかもしれませんね。

 ヘルズキングの造形は・・・うまーく金属風味を出していますし、アクターさんの動きも機械的で上手。もちろん人間型の作りですから、動きやすそうに作られていますしね。コスモス怪獣って、四足怪獣よりも、人間型の怪獣のほうがデキがいいような気がするな。デザインとしても、人間型のほうがデザインしやすいってのもあるんでしょうか。でも、もっともっと四足怪獣も出してあげてくださいましな。

 んじゃ、EYES・・・今週もダメすぎ。ヘルズキングがロボット体に変態した時、さくっとドイガキ(須藤公一)が、「地球侵略を目的とした機械生命体です」ってなことを言っておりましたが、変態しただけでよくそんなことがわかるなぁ。さすがEYESと言いたいところですが、そのくせSRCの研究施設の高純度エネルギーを全部抜き取られるまで気がつかないっていう間抜けさ・・・。防衛軍の苛立ちもわからないでもないです、はい。
 というかよー、「地球侵略を目的とした機械生命体」ってわかった時点で、防衛軍の出番じゃないのかなぁ。

 さて、ではいよいよ、赤星さん・・・じゃなくて、メインのお話のほうにツっこんでいきましょう(どきどき)。いやぁ、楽しませていただきました。赤星さんの芝居もさるものながら、今週の面白さは、ドラマのいろんな要素を上手に組み合わせていることでしょう。

 前半はコメディです。草野と警官(藤原鉄苹)、香織(広瀬もえ)にムサシの4人でコメディタッチに描いてます。ギャグとしてはコテコテですし、「ぬるま湯3分納豆ラーメン」(メチャクチャまずそうだ)や「納豆の匂いがするハンカチ」(気持ち悪いって)ってのも、普通の役者さんが言っても面白くもなんともないと思うんですが、赤星さんの素晴らしい演技によって、なんともないギャグが面白くなっています。いやぁ、赤星さん、メチャクチャ上手ですなぁ。この前半部では、中盤から後半にかけての前フリもちりばめていますが、それはおいおいツっこんでいくとしましょう。
 中盤はサスペンス。ムサシを襲った犯人をぎりぎりまで見せないことで、一瞬ではありますが私達をサスペンスドラマの雰囲気に落としこんでくれました。しかも、ここで前半の前フリを上手に生かしているんです。防衛軍特務部隊が草野をマークしているっていう情報によって、私達見ているほうの目を草野一人に向け、私達の頭からあの警官を対象外にさせているのです。ムサシを襲ったのが警官で、赤星と同志であるとわかってはじめて、そういえば草野と警官、妙に馬が合ってたよなぁ・・・と思わせるって寸法。うーむ、うまいつくりだなぁ。
 ここらヘンからは、家族の愛情物語も混ざってきます。注目は、草野の家族に対する愛情ではなく、娘の草野に対する愛情のほうを描いていること。ここでも、前半の前フリを上手に生かしていますね。そう、香織が草野に渡した、あのぬいぐるみです。これも冒頭で香織がシェパードに忘れ、かつメチャクチャ不細工なパンダってことで、見ているほうにあのぬいぐるみを印象付けているんです。このたった一個のぬいぐるみで、娘の父親に対する愛情を表現している・・・うーん、うまいよなぁ。このほか、ムサシが草野をつけまわしている時の香織の「ニャントロ星人」ってのも、父親に対する香織の思いを表現したものだと思いますが、皆さんどう思います?
 そしてラストシーンは、草野・・・いやベリル星人の家族に対する想いです。赤星さんの本領発揮ですね。いやぁ、もう説明要らないでしょう。少しテレながらの「愛しちゃったんですよ」をはじめ、顔の表情だけじゃなく体全体で「本当に家族を愛している」という表情を作っている・・・うーん、素晴らしい俳優さんだと思います。
 このほか、香織の「オヤジ星から来たオヤジ星人」ってのも、実際に草野がベリル星人だったってことを考えると面白い前フリになってますし、草野のたこ焼き好きってのも赤星さんのスキンヘッドと妙にマッチしていて面白かったなぁ。
 とまぁ、コメディ、サスペンス、愛情物語とたくさんの要素を盛り込んでいるのに、それぞれがうまく混ざり合っているという素晴らしいデキなんです。それもこれも赤星さんの芝居が三つの要素のつなぎの役目をしているんではないかと思います。

 さて、草野に乗りうつったベリル星人、ずーっと「侵略か阻止か」って悩んでいたそうです。もちろん以前から侵略を阻止しようとはうすうすと思っていたのだろうとは思いますが、なかなか踏み切れなかったんだと思います。もう1人のベリル星人(警官ですね)がすぐ近くにいますし、阻止しちゃうとベリル星から裏切り者として追われるってこともありますしね。では、本当に阻止を決めたのはいつだったのか・・・。これを考えると夜も眠れなくて(大嘘)。赤星さんの芝居が含みのある演技なのでメチャクチャ難しいんですが、私としては、香織からの電話が決断させたんだと思いたいですね。
 ぬいぐるみを渡された時っていう線もあるでしょうが、このときもまだ決断は出来ていなかったんじゃないかと思います。その後、一度は銃口をムサシに向けていますし、電話がかかる直前にムサシに何か言おうとしてるあたりから心の揺れが見て取れます。じゃぁなぜ警官を殺したか・・・。家族と使命、揺れる心の中で本能的に殺してしまったってところでしょう。
 思うに、ベリル星人、家族という概念がありませんから、家族を愛してはいても家族から愛されているということに気がついていなかったんだと思います。それに気がついた・・・というか、家族から愛されているんじゃないかと思ったのがぬいぐるみを渡された時。そして、あの電話によって、愛されているという確信をもった。それを表現しているのが、電話の後の「お父さんか・・・」ですね。家族から愛されているという確信、自信がベリル星の使命を捨てさせ、逃亡生活も辞さない覚悟につながっていったんでしょう。んま、これは私の解釈ですが、人それぞれ違った解釈もあるでしょう。赤星さんの芝居って、こうやって見ているほうにいろんなことを考えさせてくれる芝居なんですよね。いやぁ、ホントにいい役者さんだなぁ。

 なんか、誉めまくってるなぁ・・・。いやぁ、冷静に考えるとツッコミポイントはそれなりにあるんですよ。例えば、ベリル星人はいつから草野と警官にとり憑いていたのかってのが疑問ですな。草野とムサシの会話に香織の小さい頃の話題が出ていましたから、かなり昔からとも考えられますよね。そうなってくると、とり憑いていた間の草野の記憶はどうなっているんでしょうねぇ。んま、ここらあたりは何とか説明がつかないこともありません。とり憑いた時期はごく最近で、ベリル星人は草野の記憶を自分の記憶として取り込み、その記憶によって家族を愛してしまった・・・と考えれば、まあ一応は納得できます。
 納得できないのが草野が殺しちゃった警官。警官もベリル星人にとり憑かれているんでしょうから、殺さなければならないのはベリル星人本体のほう。ところが草野は警官のほうを殺しちゃってます。とり憑いていたベリル星人は死んだとしても、現場には警官の死体が残っちゃいますしねぇ。そしてそこには草野の指紋のついた拳銃・・・草野さん、警官殺しの容疑者として逮捕されなきゃいいけどなぁ。

 宇宙人が地球の家族を愛してしまうという今回のお話、実は「ウルトラマンダイナ」でも似たような話があったんですが、今回のほうが格段いいデキです。うーん、やっぱ、赤星さんだよなぁ。赤星さんだからこそ、こんなにいい作品になったんじゃないでしょうか。

 え?今日は赤星さんばっかり誉めてるって?はいはい、太陽君も誉めてあげましょう。たこ焼きを草野に全部食われちまった時のムサシの表情、あれはかわいかったぞ。やっぱりいい役者と競演すると、何か得るものがあるんでしょうねぇ。


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