第26話 カオスを倒す力

監   督 北浦 嗣巳
脚   本 大西 信介
特技監督 佐川 和夫
怪   獣 カオスヘッダー・イブリース

 うーん、微妙。前半はそれなりに面白かったのですが、後半はだるくなってきた感じでもったいないですねぇ。前半部は、カオスヘッダーによる失踪事件をいくつか紹介しておいて、狩野良一(頭師佳孝)の失踪事件とその子供正太(くぼかんじ)にスポットを当てるという、なかなか上手な流れだったのですが、後半部での説明不足のおかげで、あんまりいいデキとはいえない作品になってしまいました。

 今回のカオスヘッダーは、人間の感情エネルギーを使って実体化した、ということなんでしょう。ですが、これもラストシーンのシノブ(坂上香織)の言葉があって初めてわかること。それまでは、ヒウラ(嶋大輔)だけじゃなく、見ているほうもカオスヘッダーがなぜ実体化したかわかりませんでした。まぁ、じっくり考えれば、良一の正太を思う気持ちが、カオスヘッダーを良一の身体から追い出した・・・ということになるんでしょうが、今度は、一度実体化したカオスヘッダーが、なぜ良一の「子を思う心」に影響されたかってのがわかんなくなりますよね。
 んで、シノブの言葉、「親子の愛情はカオスヘッダーも制御できなかった」なんですが、これもねぇ。親子の愛情なんて人間に限らず哺乳動物は大体持ってます。逆に、人間が持つ怒りや憎しみのほうが制御できないんじゃないかと思うんですが、いかがなもんでしょう。
 しかも、人間の感情とカオスヘッダーとの関係はこれが初めてではありません。「空飛ぶクジラ(第16話)」で、茜(高畠華澄)という女の子の傷ついた心にとり憑いています。その時は浩太(落合扶樹)の茜が好きだという感情によってカオスヘッダーに打ち勝っています。ですから、今回のシノブの言葉は、この時の茜と浩太の話を踏まえて・・・ということで見なければいけないんでしょうが、「空飛ぶクジラ」を思い起こさせるには、いささか弱かったというのは否めないと思います。

 まだまだあります。最初の2つの失踪事件、ケンカしている男と、たぶんフラれた女でしょうが、この2人ともマイナスの感情(怒り、悲しみ)が昂ぶった時にさらわれています。「空飛ぶクジラ」の茜もそうですよね。ですからカオスヘッダーの目的は人間のマイナスの感情を利用するんだろうと思っていたのですが、良一の場合は、正太のお土産を持ち、家に電話している時という、喜び、愛情というプラスの感情の時にさらわれています。ありゃま、プラスの感情の時もさらうのかーと、ちょっとがっくりしちゃいましたねぇ。
 もっとも、ヒウラの言うように「人間に興味を持った」のが本当だとしたら、カオスヘッダーは、人間の喜怒哀楽の感情を調べようとしていたのかもしれません。男の時は怒りの感情、女の時は悲しみの感情、そして良一の時は、喜びや愛情。こういう、人間だけが持つ(と思われる)感情を調べていたと考えることも出来ます。もしそうだとすると、プラスの感情だろうが、マイナスの感情だろうが関係ないっちゃ関係ないんですけど、それなら冒頭でプラスの感情の人をさらうというシーンも欲しかったなぁと思います。
 えーい、ついでにもうひとつ。正太が行方不明になった時のムサシの経験談・・・小さい頃に父親が地方で行方不明ほげほげってやつです。これってあんまり必要なかったような気がしますねぇ。最後の「父親に会うためだったらどこへでも行きます」っていう言葉だけで十分だと思います。

 これ以外でも頭の中にハテナマークがたくさん出てきたシーンがありました。失踪した良太が監禁されていた場所が倉庫ってのもヘンですし、あろうことかちゃんとパソコンまで用意してあるってのもヘン。おまけにそのパソコン、しっかり電源も入ってますしねぇ。うーん、カオスヘッダーがさらったわりには、メッチャ人間くさいところに押し込めるもんですねぇ。まぁ、もっとも、子を思う感情を調べるため、といわれりゃ納得できないこともないですけれど、光のウイルスたるカオスヘッダーが、あそこまでの準備を出来るのかってことになると、またまたハテナマークが飛び交うのです。
 と、ハテナマークが頭の中を飛び交うような設定、ストーリーですから、なかなか腰が入れられないっていうのが正直な感想です。まぁ、カオスヘッダーとの最終決戦になった時に、コスモスの力だけではなく、人間のプラスの感情がカオスヘッダーを倒すっていう前フリになる作品だろうとは思いますが、それならそれで、もう少しわかりやすく、しっかりと作って欲しいと思います。見ているほうの心にしっかりと残らないと、前フリにもならないですよ。って、まさかこれでカオスヘッダーを倒したってわけじゃないですよね? それだったらかなり哀しいもんがあるぞ。

 さて、ストーリーに対するツっこみはこの程度で置いとくとして、つづいては・・・スポンサーのやり方。正太の格好見ました? EYESキャップにラウンダーショット、ラストのシーンでは隊員スーツまで着せてます。そりゃ、こじつければ何とでも説明はつきますよ。子供向けにEYESグッズを売り出してSRCの運営費の一部に充てるとともに活動内容を広報する・・・ていう説明はつけられないこともないですが、木本博士(藤村俊二)から感じられるSRCの理念から考えると、この説明ではふさわしくないでしょう。結局、スポンサーのバンダイさんの意向としか考えられないんです。確かにスポンサーになるってのは自社の宣伝のためですが、ここまであからさまに番組の中で宣伝しなくても・・・と思うんですが、バンダイさんの良識に期待したいと思います。

 ふぅ、なんか今日ツッコミばっかりだな。気を取り直して戦闘シーンに行ってみましょうかねぇ・・・って、ここでもツッコミ多いんですけどね。
 まずは、EYESのオペレーション。良一と正太を助けにシェパードで駆けつけたシノブ。あのー、トレジャーベースってどっかの島でしたよね。あんなに早く来られるもんなの?先週もツッこみましたけれど、EYESについては、どーも基本的な設定がなってないような気がします。
 そのうえ、ヒウラ、ドイガキ(須藤公一)、フブキ(市瀬秀和)の乗るテックサンダーのほうは、コスモスがピンチになるまでただ傍観してるだけだし。んでピンチになって慌てて援護って、そんなにいきあたりばったりのオペレーションだったら防衛軍もEYESなんかに任そうなんて思わんと思うぞ。

 先週に引き続き、せっかくの街中シーンというのに破壊シーンはなし。まぁもう半分あきらめてるんでいいんですけどね。でも、CM直前のシーン、街中を炎が走るシーンはよかったですねぇ。一瞬ですが、どきどきしちゃいました。ところが、CM後のシーンがいけません。街が燃えるシーンの合成ががたがた。ジオラマ壊さないんだから、合成くらいしっかりやって欲しい気がします。
 じゃぁ実際に戦ってるシーンはというと・・・これがまたねぇ。たくさんのカットをつなぎ合わせたっていう感じの絵です。コスモスの戦闘シーンってこういう絵が多いですよね。こういうカットのつなぎ方って、カットとカットの間に時間が経っているような感じがしちゃいます。もっとこう、なんというか、カットをつなぎ合わせるのはしょうがないにしても、見ているほうにカットとカットのつなぎ目を感じさせないような絵が欲しいですねぇ。
 やばかったのは、以前使ったのとまったく同じ構図を使うという暴挙。カオスヘッダー・イブリースとコスモスが同時に飛び上がるシーンは、「ルナ対ルナ(第23話)」で使った絵ですし、コスモスのキックは「テックブースター出動せよ(後編)(第22話)」で使った絵。しかもどっちも立体感もスピード感もない、面白くも何ともない絵です。

 うーん、ほんとに何度も何度も言いますけれど、特撮というのは、実際に人が入って、人が演じたものを、カメラと人間の錯覚によってリアリティを出すものだと思っている私にとっては、こういう絵はやはり許せないのです。ただコンピュータ上で、コスモスや怪獣などのキャラクターを動かすだけだったら、特撮ではなくなる・・・と思っているのは私だけでしょうか?
 その点、これも何度も言いますけれど、コスモス怪獣のデキはとってもいいです。アナログ万歳という感じ。今回のイブリース、左右非対称ですけれど、それに違和感がまったくありませんし、体のラインもとってもきれいです。いやぁ、ほんと怪獣だけはレベル高いですねぇ。

 もうひとつ、戦闘シーンにツッこんどきましょう。今週のコスモスの行動・・・というか、モードの使い分けがわけわからんかったですね。今までは、相手がカオスヘッダーだったらさっさとコロナモードにチェンジしていたのに、今回はピンチになるまでルナモードです。せっかく正反対の性格付けをしている二つのモードなのに、こんなに一貫性のない使いかたでは、結局スポンサーの意向・・・と思われてもしょうがないと思いますよ。こういうところも制作側の意図がはっきりとしないところではないでしょうか。

 ということで、今回かなり辛めのレポートになってしまいました。だって面白くないんだもん。とはいうものの、これからのカオスヘッダーの行動には興味をそそられます。今回、良一の口を借りてではあるけれども初めてカオスヘッダーとの会話もありました。怪獣やゴミなどだけでなく、人間の感情にまでとり憑くカオスヘッダー、これからのカオスヘッダーの動きには注目しないといけないでしょうね。

 じゃぁ、ヒマネタ。今日のアヤノ(鈴木繭菓)、髪の毛アップにしていましたねぇ。こっちのほうがEYESスーツによく合ってると思いません? 結構肩幅のある子ですから、髪の毛おろしちゃうと太く見えちゃうんですよね。せっかくかわいい子なんだから、似合う格好で使ってあげてください。
 アヤノといえば、ムサシの呼び方も気になりましたな。プライベートではアヤノちゃんと呼ぶムサシですが、オペレーション中はアヤノ隊員って呼んでるんですね。なんか、ますますこの2人、普通の関係じゃないような気がしてくるぞ。だからぁ、ムサシなんか止めといて、ジュン君にしときなって(笑)。

 それにしても、あのパンダ便、東京と群馬を往復しているらしいですが、東京に行く便でよかったよね。もし群馬行きだったら、正太くん、群馬に舞い戻ることになっちゃいますからね(笑)。


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