第22話 テックブースター出動せよ(後編)

監   督 根本 実樹
脚   本 梶 研吾、林 壮太郎
特技監督 佐川 和夫
怪   獣 カオスパラスタン バラスタン

 さて、後編。いつのまにか謎解きモノになっちゃいました。謎解きモノなら緊迫感なんて必要ないかも知れませんが、やはり地球の危機という緊迫感は欲しいものです。

 緊迫感が出ない理由をそれなりに考えてみました。このほかにもいろいろと緊張感をそいでしまうものがあったでしょうが、今週は謎解きモノですから、これ以上はツっこまないことにしましょう。

 画面に映し出されたCGのジュラン。確かによくできたCGではありますが、そこはやはりCGですから、どーもうそっぽい。うそっぽい絵を見て、緊迫感を感じようというのが無理ですもん。
 もうひとつ、細かいところですが、1/100秒まで表示するミサイル発射までの時計。緊迫感を出そうとしてのことでしょうが、これは完全に空振り。1/100秒までのデジタル表示なんて、よほど動体視力がないと人間の目にはついていけません。読みきれない数字を見せて緊迫感を感じさせようとするのは無理。緊迫感を出そうとしたら、秒単位でなければなりません。秒単位なら、人間の心拍リズムに近いので、目からも心臓の鼓動からも緊張感を感じさせることができたはずです。
 うーん、結局EYESと防衛軍しか出ていないってことでしょう。一般の街中を舞台にするってのは難しいかもしれませんが、今まで出てきたEYES隊員たちの周りの人、たとえば「異次元の罠(第17話)」のサワグチや、「怪獣一本釣り(第6話)」ドイガキ(須藤公一)の両親などに心配させるシーンのひとつでもあれば、もうちょっと緊迫感が出ていたんじゃないかなぁ。

 さて、では先週の宿題をツっこんでみることにしましょう。まずはミツヤ(高橋一生)の安否。思ったとおり生きてました(笑)。それなりの緊迫感を出すためにも必要ですしね。ミツヤが死んでたら、サクサクっと怪獣倒して地球に帰ればすむことなんで、それでは見ているほうもどきどきはしないでしょ。
 それに、今までのコスモスを見る限り、「死」というものを出来るだけ出さないようにしているようにも感じます。怪獣による「死」によって、人間に怪獣に対する「憎悪」を描かなければならなくなることを避けているようです。「星の恋人(第19話)」では、ミゲロン星人の「憎悪」を描いていましたが、人間の「憎悪」については、まだ描いていません。意識的に避けているのだとしたら、ちょっと寂しい気はしますが、子供向けの番組としてはしょうがないところかもしれません。

 つづいて、石碑と文字の謎。これによってすっかり謎解きモノになっちゃったわけですが、こちらのほうはそれなりにポイント高いです。見ているほうに、コスモスとカオスヘッダーの関係が古くからのものであるということをそれなりに知らせています。これから先、重要な要素であろうと思われるコスモスとカオスヘッダーの関係を、ストーリーと直接関係ないところで出すというのは、とてもいいやり方だと思います。
 もし、古い時代からカオスヘッダーとコスモスが戦っていたのだとしたら、コスモスがカオスヘッダーに対して有無を言わさずコロナモードで戦うってのも、うなずけなくはないですね。
 そういえば、先週ドイガキがこの文字を見て、地球の古代文字と似てるといっておりましたが、1000年に一度地球に近づくジュランの文明と地球の文明に何か接点があるのでしょうか。もしそうだとしたら、地球とコスモスの間にも、8年前のバルタン事件(劇場版)以前に何か接点があったかもしれません。今後の展開に注意しときましょう。
 あ、もうひとつ。解読された石碑・・・英語で翻訳されてましたが、シノブ(坂上香織)は日本語で読み上げてましたねぇ。最初から日本語に翻訳しておけばいいのになぁ・・・てなことを思っちゃったついでに、なんでドイガキに転送しないんだろう・・・なんてことも思っちゃいました。

 宿題を済ませた後は、ようやく細かいところへのツっこみです。ジュランという天体の不自然さは、先週もツっこんでいますが、今週もやっぱ不自然ですねぇ。まぁ、突然不自然さがなくなるってのもヘンなので、これでしょうがないんではありますが・・・。

 先週私は、ジュランの大きさは地球とほぼ同じであろうと推測しましたが・・・やられました。ぜんぜんちっこいじゃん。月よりは大きいかもしれませんが、地球よりはかなり小さい。うーん、そうなるとやっぱ大気組成や重力あたりに問題があるぞぉ。それに、小さいとはいえあれだけの星が地球に近づいてきたら、ジュランの重力でかなりの影響が出そうなものですが、それもないしなぁ。
 もっとも、いくら他の星から来たとはいえ、母恒星を持たない星に文明を築くっていうのからして、ちょっと首をかしげちゃいますけどね。

 このシリーズのもうひとつの目玉でもあり、クリスマス商戦の目玉でもあるテックブースターの機能もいろいろと紹介されてましたな。劇場版でも使われた怪獣を殴るためのこぶしマシン(笑)。もっとも、劇場版のアニメチックなモノと違い、こちらのほうはあくまでメカ的に作ろうとした意思は伝わってきてはいます。まぁ、許せる範囲の遊びではあるんですが、どうも劇場版のシーンを思い出しちゃってしまい、プチげんなりしちゃいました。
 でも、怪獣の保護を第一の目的とするEYESにとっては、こぶしマシンってダメじゃないか? コスモスだってルナモードのときは、あくまでも平手でしか戦ってないですもん。まぁ、コスモスのパワーからいうと、テックブースターのこぶしマシンなんて、微々たるもんかもしれませんけどね。って、しっかりカオスバラスタンの角折ってるしな。
 そうそう、暇ネタ。先週、今週とテックブースター、カオスバラスタンの攻撃から上手に逃げてるなー、なんでだろう、と思ったんですが、はっと気がつきました。そりゃやられちゃったら地球に帰れなくなっちゃうもんなぁ。普段からそれくらいの気構えで戦ってりゃ、地球でも怪獣にやられるってことはないと思うんですが、EYES隊員のみなさん、どうでしょう?
 んじゃ、戦闘シーンへのツッコミへと進みましょう。まずはコスモスの登場シーン。ムサシ(杉浦太陽)の変身シーンではなく、ヒウラ(嶋大輔)やフブキ(市瀬秀和)をカオスバラスタンの攻撃からかばうシーンでの登場。光としての登場は、石碑に書かれた、二つの光(カオスヘッダーとコスモス)を踏まえてて、アイデアとしては面白いと思います。  惜しむらくは、光状態のコスモスが少しはっきりしすぎていたところでしょうか。もう少し、ぼやけた感じからくっきりとさせていけば、光からコスモスへ変わったという感じが良く出たと思います。

 もうひとつの光、カオスヘッダーがとり憑いたバラスタン。造形については先週レポートした通りですが、カオスヘッダーが離れたあとのバラスタンはというと・・・うーん。きれいな曲線を作ろうとする意図はわかるのですが、腿のあたりに中ワタが感じられてしまいちょっとバツ。しかも、どうみても女性系の体の造りです。カオスバラスタンからは、女性のラインがあまり感じられませんでしたから、こちらのほうも結構違和感ありですねぇ。
 洞窟あたりでのカオスヘッダーの描き方は、謎めいた感じでなかなかよし。でも恐怖感という面では今ひとつ。それから、カオスヘッダーの出す光線が、ちょっと違和感ですね。まるで光線銃のようなものから出てくるような光線です。実体がないものから出てくる光線としては、ちょっと首を傾げてしまいます。なんかこう、もっと実体感のないものを出してくれると良かったなぁ。
 あ、バラスタンから離れたカオスヘッダーが実体化したあたり、「カオスヘッダーの影(第2話)」を踏まえているのは評価できますね。

 実際の戦闘になると、シーンの切り換えが多くて見ているほうはちょっと大変。確かにスピード感は出てくるのですが、「戦い」の表現という面ではちょっと物足りません。できれば1カットをもう少し長くして、「戦い」らしさを出してもらえればいいなぁ。映像自体はフィルム風に作ってあって、とてもいい映像だっただけに、ちょっと残念でした。

 コスモスはというと、カオスヘッダーがとり憑いたバラスタンにはルナモード、カオスヘッダーが実体化したバラスタンにはコロナモードという、ウルトラマンコスモス本来の使い分け。やっぱり二つのモードともコンセプトがあるわけですから、このコンセプトから離れちゃいけません。今回の作品に限ってはしっかり使い分けていましたが、これからもこのコンセプトははずさないでくださいまし。

 というわけで、今回のレポート、最後はアヤノ(鈴木繭菓)ネタで締めくくりましょう。一人地球に残されたアヤノ隊員ですが、この後編に限って言えば、収録時間めっちゃ短かったろうなぁ。


ウルトラマンコスモスレポートに戻る


ぐーの「ぐーの音」に戻る

無断転載を禁ず
転載、リンクについてはこちらを参照